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漢方薬の代替医療からの脱出

抑肝散使用による偽アルドステロン症の危険因子:日本の医薬品副作用報告データベース(JADER)を使用した分析

doi.org

抑肝散は、認知症周辺症状やせん妄の改善が期待されるため、高齢者に一般的に使用されている漢方方剤である。しかし、その使用による副作用は高齢者で頻繁に報告されている。特に、抑肝散に含まれる甘草による偽アルドステロン症は、高血圧、低カリウム血症、筋力低下を引き起こし、死に至る可能性がある。この研究は、抑肝散の使用による偽アルドステロン症の危険因子を特定することを目的とした。日本の医薬品副作用報告データベース(JADER)で報告された症例を使用して、報告オッズ比(ROR)が計算され、比較されて、甘草を含む各漢方方剤の偽アルドステロン症のリスクが評価された。また、抑肝散を服用している患者の偽アルドステロン症の危険因子を分析した。抑肝散は、他の甘草を含む漢方方剤よりも偽アルドステロン症のリスクが高かった(ROR 2.4、95%信頼区間(CI)1.9-2.8;p<0.001)。さらに、抑肝散を服用している患者のロジスティック回帰分析の結果は、甘草の投与量(OR 1.5、95%CI 1.2-2.0; p<0.01)、高齢(<70歳、OR 5.9、95%CI 1.8-20;p<0.01)、認知症(OR 2.8、95%CI 1.6-4.9;p<0.001)、低体重(<50 kg、OR 2.2、95%CI 1.1-3.5;p=0.034)は偽アルドステロン症の危険因子であることをを示し、有意ではないが、ループ利尿薬との併用は、偽アルドステロン症のリスクを高める傾向があった(OR 1.8、95%CI 0.98-3.5;p= 0.059)。要約すると、患者は抑肝散の服用を検討する際の危険因子を理解し、消費する甘草の投与量を減らす必要がある。

Impact Factor: 1.863 PMID: 32999167