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漢方薬の代替医療からの脱出

転倒の危険因子として非GABA睡眠薬であるスボレキサント:症例対照研究と症例交差研究

doi.org

この研究の目的は、非ガンマアミノ酪酸(GABA)睡眠薬、スボレキサントおよびラメルテオンの使用に関連する転倒のリスクを調べることだった。この症例対照研究と症例交差研究は、東京都千代田区の九段坂病院で実施された。転倒した合計325例と性別および年齢が一致する対照の1295例を登録した。症例群の選択基準は、最初に転倒した入院患者であり、対照群の選択基準は、2016年1月から2018年11月の間に入院して転倒しなかった患者とした。投与された睡眠薬は、スボレキサント、ラメルテオン、非ベンゾジアゼピン系、ベンゾジアゼピン系または漢方薬に分類された。症例対照研究では、年齢、性別、臨床部門、転倒リスクスコアおよび入院期間をロジスティック回帰モデルで調整した。症例対照研究では、多変量ロジスティック回帰により、スボレキサント(オッズ比[OR]:2.61、95%信頼区間[CI]:1.29-5.28)、非ベンゾジアゼピン系(OR:2.49、95%CI:1.73-3.59)、およびベンゾジアゼピン系(OR:1.65、95%CI:1.16-2.34)の使用は、転倒のORの増加と有意に関連していた。しかしながら、ラメルテオン(OR:1.40、95%CI:0.60-3.16)および漢方薬(OR:1.55、95%CI:0.75-3.19)の使用と、転倒のORの増加との関連は有意ではなかった。症例交差研究では、スボレキサント(OR:1.78、95%CI:1.05-3.00)と非ベンゾジアゼピン系(OR:1.63、95%CI:1.17-2.27)の使用は、転倒のORの増加と有意に関連していた。同様のパターンがいくつかの感度分析で観察された。スボレキサントは転倒のORを増加させることが示唆された。この結果はさまざまな分析により揺るがないものである。この研究が非GABA睡眠薬スボレキサントにも転倒のリスクが存在することを示したため、睡眠薬は適切な評価の下で注意深く処方する必要がある。

PMID: 32916693 PMCID: PMC7486134