がん治療に関連する皮膚合併症への紫雲膏の臨床応用
【目的】放射線性皮膚炎、分子標的薬による手足症候群などのがん治療に関連する皮膚合併症に対する紫雲膏の有用性を検討した。
【方法】1. 単純な放射線性皮膚炎：悪性脳腫瘍に対する頭皮の放射線性皮膚炎31例；2. 化学療法・放射線療法同時併用治療に合併する重症放射線性皮膚炎9例；3. 頭皮の放射線性皮膚炎に対する予防的紫雲膏塗布4例；4. 分子標的薬による手足症候群6例を対象とした。使用方法は通常の軟膏処置と同様である。治療効果判定は症状の改善率によって以下のように評価した：excellent（改善率80%以上）、good（改善率50%）、fair（改善率50%未満）、no effect（改善率30%以下）。
【結果】全例において良好な症状改善効果を得た。紫雲膏はステロイド製剤が奏功しなかった症例に対しても有効であるばかりではなく、組織修復作用も促進した。手足症候群症例においては良好な保湿効果と鎮痛効果を発揮した。
【結論】紫雲膏は放射線性皮膚炎や分子標的薬による皮膚障害の治療薬として期待される。
