Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

大腸癌に対してカペシタビンを使用した時の手足症候群の予防に対するTJ-28(越婢加朮湯)の効果:横浜臨床腫瘍研究会(YCOG1102)

doi.org

【背景】越婢加朮湯は、関節リウマチおよび湿疹に対して効果的である。カペシタビンを使用した補助化学療法の合併症として手足症候群(HFS)を予防するための越婢加朮湯の有効性を評価するランダム化比較試験を実施した。

【方法】本研究は、多施設無作為化比較試験(UMIN000005899)だった。補助療法としてカペシタビン化学療法を受ける予定の結腸直腸癌患者は、ランダムに越婢加朮湯(7,500mg/日)または経口ピリドキシン(60mg/日)を受けるように割り当てられた。化学療法が完了するまで、National Cancer Institute Common Toxicity Criteriaに従って、グレード2以上のHFSの発症について患者を監視した。

【結果】22例の患者がこの研究に登録された。カペシタビンの相対線量強度は、越婢加朮湯群で76.2%、ピリドキシン群で68.2%だった。グレード2以上のHFSは、越婢加朮湯投与患者12例のうち6例(50.0%)およびピリドキシン投与患者10例のうち4例(40.0%)で発生した。化学療法による治療の失敗は、主にHFS、肝機能障害、下痢、好中球減少が原因で、7例の患者で観察された。HFSによる化学療法の治療失敗は、越婢加朮湯群のいずれにも発生せず、ピリドキシン群の2例の患者(20.0%)に発生した(p=0.114)。

【結論】カペシタビン関連HFSは、ピリドキシンと比較して越婢加朮湯によって著しく防止されなかった。ただし、越婢加朮湯はカペシタビンによる化学療法の継続をサポートする可能性がある。越婢加朮湯の利点を明確にするために、さらなる研究が必要である。

PMID: 32406009 臨床試験登録番号: UMIN000005899