Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

広範囲を対象とした血漿メタボロミクスを用いた健康な被験者における麻黄湯の表現型分析

DOI: 10.1016/j.jpba.2018.10.026

www.sciencedirect.com

漢方薬は、全身に薬理効果を発揮する膨大な数の化合物で構成されている。漢方薬の性質を詳細に理解するには、オミックスを使用した包括的な表現型分析が不可欠である。私たちは以前、麻黄湯がラット感染モデルでインフルエンザ様症状を改善し、メタボローム分析で血漿代謝産物を動的に変化させたことを報告した。本研究の目的は、血漿代謝物に対する麻黄湯の効果を評価するために、ヒトの臨床試験麻黄湯化合物の定量分析に広範囲を対象とした血漿メタボロミクスを適用することであった。4例の健康なヒトの被験者が採用された。血漿サンプルは、麻黄湯投与の前と0.25、0.5、1、2、4、8時間後に収集された。その後、麻黄湯の主要な化学成分の広範囲を対象とした血漿メタボロミクスと定量分析を行った。血漿メタボローム分析により、麻黄湯投与により分岐鎖アミノ酸(BCAA)を含む必須アミノ酸が減少し、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸を含むさまざまな種類のω-3脂肪酸が増加したことが明らかになり、以前のラットでの研究と一致している。麻黄湯の主要な15の化合物は、全身循環で同定された。最後に、血漿中の内因性代謝産物と麻黄湯化合物の相関を分析し、血漿BCAAの減少は麻黄湯に存在するエフェドリンが原因である可能性があることを結果が示した。本研究は、内因性および外因性代謝産物の血漿メタボローム研究が漢方薬の作用機序の解明に有用であることを示した。

CiteScore: 3.15 Impact Factor: 2.983 PMID: 30368117