Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

消化器癌患者の術後消化管機能不全に対する大建中湯の有効性:メタ解析

DOI: 10.1007/s10147-019-01502-1link.springer.com

【背景】日本東洋医学会漢方薬の無作為化比較試験(RCT)を網羅的に収集、構造化抄録を作成し、当学会HPにおいて漢方治療エビデンスレポート(EKAT)として公開している。

【方法】EKATを用いて、消化器癌術後の消化管機能不全に対する大建中湯の有効性のシステマティックレビュー並びにメタアナリシスを実施した。主要評価項目は術後の初回排ガス並びに排便(BM)までの時間であった。

【結果】関連するRCT9件を対象とした。大建中湯群と対照群(大建中湯非投与)の平均差は、術後の初回排ガスまでの時間で-0.43日(95%CI:- 0.77から-0.09)、 術後初回BMまでの時間で-0.29日(95%CI:-0.59から0.01)、術後の入院期間は -0.95(95%CI:-1.70 から-0.21)日、腸閉塞発生率のリスク比は0.60(95%CI:0.35から1.03)であった。対照群と比較し、大建中湯投与群の術後の初回排ガスまでの時間並びに入院期間は有意に短かった(P=0.01)。しかし二重盲検試験のみの評価では、有意な結果ではなかった。

【結論】登録されたプロトコルに基づき検索されたメタアナリシスの結果から、大建中湯は消化管癌患者の術後消化管機能障害の改善に有効であった。しかし有効性が見られた研究は利益相反(COI)並びに盲検化に関する記述がなかったため、有意性はないと言える。

Impact Factor: 2.503 PMID: 31297704