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漢方薬の代替医療からの脱出

重症患者の経腸栄養目標の達成に対する標準および高用量の六君子湯の効果:予備的無作為化比較試験

DOI: 10.1002/ams2.442

www.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】日本では重症患者の胃排泄遅延に対し六君子湯がしばしば用いられるがその効果は十分に示されていない。そのため通常量と高用量の六君子湯が経管栄養目標達成率を高めるかどうかを検討するためこの研究を行った。

【方法】この研究は単施設非盲検予備的ランダム化比較試験である。2018年3月から12月に集中治療室に入室し早期経管栄養を受けた重症患者のうち5日以上経管栄養を要することが見込まれた症例を対象とし、対照群、通常量の六君子湯群(2.5g1日3回)、高用量の六君子湯群(5g 1日3回)にランダム割付を行った。介入期間は5日間とした。主要評価項目は5日目の経管栄養の目標達成率とし、目標カロリーは実体重あたり25kcal/kg/dとした。

【方法】対象の26名の年齢の中央値は73歳,入室理由で最多は敗血症(11名;42%)だった。対照群9名、通常量群8名、高用量群9名に割付られそのうち21名(81%)で主要評価項目が評価された。5日目での経管栄養達成率は対照群、通常量群、高用量群で59%(四分位点39%・63%)、40%(四分位点26%-61%)、 62% (四分位点17%-83%)で群間差を認めず(P=0.42)、何らかの有害事象は4例、3例、4例で生じていた(P=1.00)。

【結論】重症患者における通常量もしくは高用量の六君子湯は経管栄養の達成率を高めなかった。

臨床試験登録番号: UMIN000031466