Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

術後補助化学療法を受けている大腸癌患者におけるオキサリプラチン誘発性末梢神経障害に対する人参養栄湯の予防効果:無作為化非盲検第Ⅱ相試験(HOPE-2)

doi.org

【目的】末梢神経障害(PN)はオキサリプラチンによる難治性の副作用であり、これまでのところ効果的な予防法はない。人参養栄湯は、in vitroでのオキサリプラチンの神経細胞障害を軽減し、in vivoでのオキサリプラチンによる冷痛覚過敏を軽減することが明らかになっている。この無作為化比較試験は、オキサリプラチン誘発性累積PNに対する人参養栄湯の予防効果を明らかにすることを目的とした。

【方法】ステージ3の大腸癌患者52例は、CapeOXレジメンによる術後補助化学療法を受けた。3週間間隔でカペシタビン(2,400mg/㎡)とオキサリプラチン(130mg/㎡)を8サイクル投与した。彼らはランダムに人参養栄湯投与群と非投与群に割り当てられた。人参養栄湯(9.0g/日)は、人参養栄湯群のサイクル1の1日目から投与された。人参養栄湯は各サイクルを通して毎日経口投与された。主要評価項目は、8サイクル終了時の累積PNのグレード、副次的評価項目は、オキサリプラチンの相対容量強度(RDI)、無再発生存期間(RFS)、および全生存期間(OS)であった。

【結果】40例(両群で n=20)が8回の化学療法サイクルを完了した。化学療法8サイクル終了時点でのグレード2以上の累積PNの発生率は、人参養栄湯群(2/20、10.0%)の方が非投与群(11/20、55.0%、P<0.01)よりも有意に低かった。オキサリプラチンのRDIは、非投与群よりも人参養栄湯群で有意に高かった(P=0.02)。RFSとOSは、非投与群よりも人参養栄湯群の方が優れていたが、差は有意ではなかった。

【結論】人参養栄湯は、オキサリプラチン誘発性の累積PNの発生率を低減し、CapeOX投与計画の維持を促進する可能性がある。

Impact Factor: 2.503 PMID: 32232692