抑肝散は医療スタッフの苦痛と外傷性脳損傷後の破壊的および攻撃的行動を伴う患者の認知機能と意欲を改善する
DOI: 10.1002/ams2.24
【目的】抑肝散は、認知症患者の行動および心理的症状の治療に安全で有用であると報告されている。この研究は、外傷性脳損傷後の患者の破壊的および攻撃的な行動に対する抑肝散の影響を調査することを目的とした。
【方法】2008年4月から2010年7月までに、脳の外傷を負った189例が3次救急センターに入院した。これらのうち、破壊的で攻撃的な行動をした患者は、神経遮断薬で治療された。神経遮断薬でコントロールできない7例（男性5例と女性2例）に、食事の前に1日3回抑肝散（2.5g粉末）を与えた。主な基礎疾患には、脳挫傷3例、急性硬膜下血腫2例、急性硬膜外血腫2例が含まれていた。以下の評価は、ベースラインと治療開始後1週間および2週間で実施された。外傷性脳損傷後の意識障害の評価にGlasgow Coma Scale；医療スタッフの苦痛にNeuropsychiatric Inventory；認知機能にMini-Mental State Examination；日常生活動作にBarthel Index；やる気に意欲の指標；副作用および薬物相互作用の存在。
【結果】抑肝散による治療後、患者はGlasgow Coma Scale（P=0.001）、Neuropsychiatric Inventory（P=0.016）、Mini-Mental State Examination（P=0.029）、Barthel Index（P=0.043）、および意欲の指標（P=0.013）で有意な改善を示した。抑肝散と西洋薬の間に副作用や薬物相互作用は観察されなかった。
【結論】抑肝散は、外傷性脳損傷後の破壊的で攻撃的な行動をしている患者において、副作用や西洋薬との薬物相互作用を伴わずに、Glasgow Coma Scale、Neuropsychiatric Inventory、Mini-Mental State Examination、Barthel Index、意欲の指標を改善した。
PMCID: PMC5997241
