Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

認知症の治療に対する八味地黄丸の効果:SPECTによる脳血流検査と認知機能とADLに対する無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験

DOI: 10.1111/j.1447-0594.2004.00175.x

kaken.nii.ac.jp

【背景】漢方薬は、東アジア諸国認知症の治療薬として長い歴史を持っている。この研究は、現在の科学的設計を通じてその利点を明確にする。

【目的】研究1:テクネチウム99μmエチルシステイネートダイマー脳単光子放射型コンピューター断層撮影(99mTc ECD SPECT)による脳血流(CBF)に対する八味地黄丸の効果を評価する。研究2:八味地黄丸が認知症患者の認知および身体機能を改善するかどうかを評価する。

【設計】研究1:SPECT検査の8週間のケースシリーズ。研究2:認知症患者の認知および身体機能に関する8週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験。

【設定と参加者】研究1:複数の脳梗塞(男性5名と女性5名;平均年齢73歳)の患者10名を募集した。研究2:軽度から重度の認知症の33名の患者(男性7名、女性26名、年齢84.4±7.8[平均±SD]歳)は、日本の長期ケア施設に入院し、2002年5月から2002年9月まで募集および登録された。

【介入】研究1:参加者は八味地黄丸7.5g/日を8週間摂取し、投与前と投与後の脳全体と局所CBFのCBFを比較した。研究2:参加者はランダムに実薬(八味地黄丸)群(n=16)またはプラセボ群(n=17)に割り当てられ、8週間八味地黄丸またはプラセボで治療された。

【主な結果測定】調査1:脳全体のCBFおよび各関心領域(ROI)のrCBF 研究2:認知機能と日常生活動作(ADL)

【結果】研究1:脳全体のCBFは38.2±3.0 mL/100mg/minから40.5±3.1 mL/100mg/minに増加した(P=0.007)。両側の側頭葉、ブローカ野、および視床野も有意に増加した(P<0.05)。研究2:試験後、ミニメンタルステート検査(MMSE)によって評価された認知機能は、八味地黄丸群で、13.5±8.5から16.3±7.7まで有意に改善した(平均±SD、P<0.01、-4.1 <95%CI <-1.4)。 Barthel IndexのADLスコアも、61.8±34.6から78.9±21.1に大幅に上昇した(P<0.01、-26.2 <95%C.I. <-7.9)。投与終了の8週間後、八味地黄丸群のMMSEおよびBarthel Indexスコアの両方がベースラインレベルまで低下した。

【結論】私たちの結果は、認知症の治療における八味地黄丸の利点を主張している。

Impact factor: 2.118