Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

帰脾湯はアルツハイマー病患者の認知機能を改善する

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【背景と目的】私たちは以前、漢方薬である帰脾湯と加味帰脾湯をアルツハイマー病(AD)モデルのマウスに投与すると、記憶障害が改善することを報告した。臨床研究において、帰脾湯および加味帰脾湯がAD患者の認知機能に有益な効果があることを示す報告がいくつかある。ただし、これらの研究は比較ではなく、後ろ向き研究であり、したがって、より多くの根拠が必要である。そのため我々は、AD患者の認知機能に対する帰脾湯の効果を調査するために、非盲検の交差臨床試験を実施した。

【方法】適格患者の選択基準は次のとおり:(1)ADの画像診断(磁気共鳴画像法および単一光子放射型コンピューター断層撮影)、(2)アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)を含む治療レジメン、および(3)ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア≥15。 除外基準は次のとおり:(1)ChEI投与量の変更、(2)メマンチン使用量、および(3)MMSEスコア<15。年齢およびベースライン認知機能の偏りを防ぐため、患者は2群に分けられた。第1群は研究の前半(0〜16週目)に1日あたり3回帰脾湯エキス2.5 gを投与され、第2群は研究の後半(17〜32週目)に同量の帰脾湯エキスを投与された。ChEI投与量は、研究期間中に変化しなかった。患者は0、16、および32週目に認知機能検査を受けた。認知機能は、日本語版ミニメンタルステート検査(MMSE-J)および日本語版神経心理検査(RBANS-J)によって評価された。

【結果】10例が臨床試験を完了した(男性4例、女性6例、平均年齢71.7歳)。MMSE-Jスコアは、帰脾湯服用期間中に著しく増加した。RBANS-Jテストのスコアは、ChEI単独治療期間と比較して、帰脾湯服用期間中にわずかに改善したが、有意な変化は観察されなかった。

【結論】帰脾湯は、AD患者の認知機能を改善する。

Impact Factor: 1.984 PMID: 31217803 PMCID: PMC6537006