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漢方薬の代替医療からの脱出

大建中湯の開腹手術後の長期術後イレウス回復促進効果:3つの無作為化比較対照試験のサブグループ解析

doi.org

【目的】術後イレウス(POI)は、開腹手術(OAS)後の一般的な合併症である。日本では大建中湯は末梢の神経経路を刺激する漢方薬で長期POI治療に使用される。OAS後の長期POIに対する大建中湯の回復促進効果を検討するため、3つの多施設無作為化比較対照試験(RCT)のサブグループ解析を行った。

【方法】結腸、肝、胃癌によるOAS患者の長期POIに対する大建中湯の効果を評価したがん集学的治療研究財団(プロジェクト番号39-0902, 40-1001, 42-1002)研究助成対象の3つのRCT試験の二次解析を実施した。サブグループは初回食事前に排便(BM)が見られない大建中湯群(n=214)およびプラセボ群(n=196)を含む患者410例であった。患者には大建中湯 5gまたはプラセボを1日3回経口投与した。主要評価項目は手術終了から初回排便までの時間(FBM)と定義した。サブグループ解析として年齢、BMIおよび投与量の感度分析を行った。

【結果】主要評価項目において、大建中湯群はプラセボ群と比較し有意な促進が認められた(p=0.004; ハザード比1.337)。FBMまでの中央値は、プラセボ群113.8時間、大建中湯治療群99.1時間であった。

【結論】サブグループ解析より、OAS後の長期POIに対する大建中湯の有意な回復促進が示された。

Impact Factor: 2.077 PMID: 30805720 PMCID: PMC6647501

臨床試験登録番号: UMIN000026292