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漢方薬の代替医療からの脱出

認知症における興奮緩和のための薬理学的治療:系統的レビューおよびネットワークメタ解析

DOI: 10.1111/bcp.13604www.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】認知症の興奮に対して最も有効かつ許容可能な治療法を検討した。

【方法】2017年2月7日時点のMEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CENTRAL、clinicaltrials.govを検索した。独立した査読者2名によって全ての認知症タイプに対する興奮の緩和治療を評価したランダム化比較試験(RCT)を対象とした。標準化された形式を用いてデータを抽出し、RCTのための修正Cochrane Risk of Bias Toolを用いてバイアスのリスクを評価した。メタ解析によってデータをプールした。主要評価項目並びに有効性は、8週間の奏効率であり、ベースラインの興奮スコアの50%減少として定義した。副次評価項目は治療に対する忍容性であり、8週間の治療継続として定義した。

【結果】参加者5585例(男性30.9%; 平均±標準偏差年齢、81.8±4.9歳)を含む36のRCTを対象とした。デキストロメトルファン/キニジン[オッズ比(OR)3.04;95%信頼区間(CI), 1.63-5.66]、リスペリドン(OR1.96;95%CI, 1.49-2.59)および選択的セロトニン再取り込み阻害薬(OR 1.61;95%CI, 1.02-2.53)は、プラセボと比較して有意な有効性を示した。ハロペリドールは、ほぼ全ての薬剤と比較しより効果が低かった。オクスカルバゼピンを除き、多くの治療はプラセボと比較し治療に対する忍容性を示した。本研究による結果は、サブグループ並びに感度分析によって支持された。

【結論】リスペリドン、セロトニン再取り込み阻害剤およびデキストロメトルファン/キニジンは、認知症における興奮に対する有効性を示したが、デキストロメトルファン/キニジンに関する効果は単一のRCTに基づくものであった。本研究による知見は、ハロペリドールは有効性、オクスカルバゼピンは忍容性が欠如することから同剤を用いた治療を支持しない。薬剤の使用判断は、本メタ解析で評価されていない試験も含め、有益性とリスクを総合的に考慮して決定する必要がある。

Impact Factor: 3.867 PMCID: PMC6005613