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漢方薬の代替医療からの脱出

手術を施行した消化器がん患者の術後イレウスを軽減する大建中湯の周術期投与:系統的レビューとメタ解析

dx.doi.org

【目的】大建中湯が腹部手術患者の消化管運動を改善することは明らかになっているが、消化器(GI)癌患者の術後イレウス(PI)軽減を目的とした手術前後の大建中湯投与の有効性について検討した報告は少ない。本研究は、大建中湯の周術期投与によるGI癌患者のPI軽減を目的に検討した。

【方法】GI癌患者のPI軽減を目的に周術期に大建中湯を投与し、有効性を示した研究を特定するため、文献データベース(Cochrane Library、PubMed、Web Science、医中誌)を使用し2016年12月までに検索して得られた文献を対象とした。大建中湯による効果を統合するために、メタ解析を行った。メタ解析にはリスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を計算するために変量効果モデルを用い、異質性はI2統計を用いて分析した。

【結果】GI癌手術患者計1,134例を対象とした7論文を対象にメタ解析を行った。 周術期に大建中湯を投与した患者588例中67例(11.4%)でPIが認められ、周術期に大建中湯未投与患者546例中87例(15.9%)でPIが認められた。大建中湯またはプラセボ未投与群と比較し、周術期大建中湯投与群ではPI発症率が有意に減少した(RR=0.58、95%CI=0.35-0.97、p=0.04、I2=48%)。

【結論】本結果から、大建中湯の周術期投与がGI癌術後患者のPIを軽減する可能性が示唆される。

Impact Factor: 1.935 PMID: 29061775