Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

牛車腎気丸の化学療法誘発性末梢神経障害軽減作用:系統的レビュー及びメタ解析に向けたプロトコル

dx.doi.org

【目的】化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)は一般的で効果的な予防手段のない持続的かつ挑戦的な症状である。本系統的レビューでは、CIPNの予防における牛車腎気丸の有効性と安全性を評価した。

【方法】文献検索サイトであるScopus、Ovid MEDLINE、コクラン・ライブラリのThe Cochrane Central Register of Controlled Trials、医中誌から関連する包括的な文献検索を実施した。CIPNの予防に対する牛車腎気丸と代替治療を比較したランダム化比較試験を選択した。

【結果】本レビュー対象であった5試験の内、有害事象の共通用語基準(CTCAE)を用いた場合、牛車腎気丸はCIPNのリスクを軽減しなかった[リスク比(RR)0.94,CIPN Grade≥2の95%信頼区間(CI)0.57-1.57並びにRR 1.08,Grade≥3の95%CI 0.59-2.00]。Debiopharm社の神経毒性基準を用いた場合、牛車腎気丸はCIPNのリスクを低下させる傾向にあったものの有意差はなかった(RR 0.74, CIPN Grade≥2の95%CI 0.33-1.64, RR 0.65, CIPN Grade≥3の95%CI 0.28-1.52)。

【結論】牛車腎気丸はCIPNの持続性を予防するものの、重症度は予防しない傾向にあった。 牛車腎気丸によるCIPN予防効果を明らかにし、かつCIPNの様々な側面を評価するためには、将来的に複数の評価法を用いた高品質な試験が求められる。

Impact Factor: 2.641 PMID: 29270698