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漢方薬の代替医療からの脱出

認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)管理に対する漢方薬の可能性:系統的レビューとメタ解析

DOI: 10.1177/0269881116675515www.ncbi.nlm.nih.gov

認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)管理は世界中の課題となっている。植物薬は、新たな治療方法の開発において役立つ可能性がある。BPSD制御に対する植物薬の効果を評価するため、31の比較対照試験(被験者3,613例)を対象とするメタ解析を行った。対象試験数が多かったのは、イチョウ葉(Ginkgo biloba)エキスEGb 761(7試験)と多成分製剤の抑肝散(8試験)であった。その他16試験は上記以外の植物薬を対象とした。プラセボと比較したEGb 761投与群(MD -3.46 (-5.94、-0.98);I2=93%;n=1,757)、及び非投与群と比較した抑肝散投与群(SMD -0.53 (-0.86、-0.21);I2=0%;n=150)でNPIスコアの改善が見られた。EGb 761で認知スコアに改善が見られた一方、抑肝散では認知機能への影響は見られなかった。その他植物薬では、4つのプラセボ対照試験の内2つの試験でBPSD及び認知スコアの改善が見られた。EGb 761と抑肝散は安全性と忍容性があると思われる。その他の植物薬では、副作用と脱落例に関する報告に一貫性は見られなかった。これら試験の短所として、試験期間の短さ、サンプルサイズの小ささ、盲検性の欠如、並びにその他バイアスリスクが挙げられる。BPSDに対するこれら治療方法の効果を更に検討するには、今後しっかりとした試験デザインに基づいた臨床試験が求められる。

Impact Factor: 4.221