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漢方薬の代替医療からの脱出

アルツハイマー病の精神神経症状に対する抑肝散の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同試験

DOI: 10.1111/ggi.12696www.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】抑肝散は、認知症の行動および心理的症状(BPSD)の治療に使用されている。本研究は、アルツハイマー病(AD)のBPSD治療における抑肝散の有効性と安全性を確認する最初の二重盲検無作為化プラセボ対照試験である。

【方法】クリニック、病院、養護施設で構成される合計22施設が参加した。合計145例のAD患者が無作為化された。抑肝散の実薬(7.5g/日)とプラセボは、それぞれ75名と70名の参加者に投与された。主要評価項目は、BPSDを評価する手段である神経精神医学インベントリ簡易質問票(NPI-Q)の合計スコアの4週間の変化とした。副次的評価項目には、NPI-Qスコアの12週間の変化、NPI-Qサブカテゴリスコアの変化、ミニメンタルステート試験の合計スコアが含まれる。

【結果】NPI-Q合計スコアの4週間の変化は、治療群とプラセボ群の間で有意な差はなかった。また、NPI-Qの合計スコア、NPI-Qのサブカテゴリのスコア、またはミニメンタルステート試験の合計スコアの12週間の変化についても、群間に有意差はなかった。しかし、ベースラインでのミニメンタルステート試験で20ポイント未満のサブグループは、プラセボ群よりも抑肝散群で「興奮/攻撃」スコアの大幅な減少を示した(P=0.007)。研究中に深刻な副作用は観察されなかった。

【結論】私たちのデータでは、BPSDに対する抑肝散の有効性に関する統計的有意性には達しなかった。ただし、抑肝散は副作用の頻度が低く、「興奮/攻撃」や「幻覚」など、いくつかの症状を改善する。

Impact factor: 2.118