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漢方薬の代替医療からの脱出

膵頭十二指腸切除後麻痺性イレウスの予防に対する大建中湯の有効性の検討:多施設、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験

DOI: 10.1016/j.surg.2015.11.019www.ncbi.nlm.nih.gov

【背景】膵頭十二指腸切除術(PD)を受けた膨大部周囲腫瘍または膵頭部腫瘍を有する患者を対象に、回復のため周術期に大建中湯を投与することの有効性を評価した。

【患者と方法】この多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第II相試験(日本-PD試験)では、患者は大建中湯またはプラセボを受けるために1:1の比率で無作為に割り当てられた。主要評価項目は、(1)術後72時間以上続く術後麻痺性イレウスの発生率、および(2)術後麻痺性イレウスの発生までの時間である。この試験は、UMIN臨床試験レジストリ(000007975)およびClinicalTrials.gov(NCT01607307)に登録されている。

【結果】2012年8月から2013年7月までに、273名の患者の適格性を評価し、224名が無作為化を受けた。112名の患者が大建中湯を、112名の患者がプラセボを投与された。解析対象の集団は、大建中湯を投与された104名の患者とプラセボを投与された103名の患者で構成された。麻痺性イレウスは、大建中湯群で35(33.7%)、プラセボ群で38(36.9%)発生した(P= .626)。最初の放屁までの時間は、大建中湯群で2.25(2.00-2.50)日、プラセボ群で2.50(1.50-2.50)日だった(P= .343)。幽門輪温存PDを受けた23名の患者のうち、最初の放屁までの時間は、プラセボ群よりも大建中湯群の方が短かった:0.50(0.50-1.00)日対1.50(0.50-3.00)日(P= .034 )。

【結論】大建中湯の使用は、PD後の麻痺性イレウスからの回復を改善せず、PD手術後の診療における大建中湯の日常的な使用を妨げる可能性があることが示唆された。

Impact Factor: 3.476 臨床試験登録番号: UMIN000007975NCT01607307