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漢方薬の代替医療からの脱出

FOLFOX療法の末梢神経障害に対する牛車腎気丸の予防効果(GENIUS試験):プラセボ対照、二重盲検、無作為化第Ⅲ相試験

doi.org

【背景】末梢知覚神経毒性は、オキサリプラチン療法において頻繁にみられる有害事象である。カルシウム/マグネシウム(Ca/Mg)注がしばしば予防薬として用いられるが、最近の第Ⅲ相試験において神経毒性に関する予防効果は立証できなかった。このことから我々は、大腸結腸癌患者に対するフルオロウラシル・ロイコボリン・オキサリプラチン(mFOLFOX)療法に漢方薬である牛車腎気丸を併用した群と併用しない群を比べ、牛車腎気丸に末梢神経障害改善作用があるかどうかを検討することとした。

【方法】mFOLFOX持続静注による補助療法中の大腸癌患者を二重盲検法により無作為に牛車腎気丸群(7.5g/日、分3)とプラセボ群に割り付けた。主要評価項目は、NCI CTCAE ver.3の基準でGrade2以上の神経障害が発症するまでの期間であり、オキサリプラチンをベースとした治療中に発症したか治療後に発症したかは問わない。

【結果】予定していた310症例中142症例が登録された時点で中間解析を実施、安全性評価委員会が試験中止を推奨した。結果として、牛車腎気丸群89例、プラセボ群93例の182例が評価可能であった。Grade2以上の神経障害は牛車腎気丸群50.6%、プラセボ群31.2%で発生した。Cox比例ハザード解析の結果、牛車腎気丸投与は神経障害の発症に有意に関連することが示唆された(ハザード比 1.908、p=0.007)。

【結論】本臨床研究において、牛車腎気丸にはオキサリプラチン誘発末梢神経障害の予防効果は認められなかった。 その結果、本臨床研究は終了した。

Impact Factor: 2.610 PMID: 25627820 臨床試験登録番号: UMIN000004282