Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

胃癌に対する胃全摘後の大建中湯の効果:多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第II相試験

DOI: 10.1016/j.jamcollsurg.2015.03.004www.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】大建中湯は腸管運動亢進作用による消化管症状改善が期待され広く用いられてきた。本試験は胃全摘術後のイレウス発症予防と術後消化管機能障害に対する大建中湯の有効性と安全性を評価するために実施した。

【方法】胃全摘術を受けた胃がん患者245例を対象とした。対象患者は術後1日目から12日目までの期間、大建中湯(15.0g/日、分3)またはプラセボの投与を受けた。主要評価項目は初回排ガス及び排便までの期間、排便回数である。副次的評価項目には、QOL、C反応性タンパク、重症胃腸障害を示す指標症状、術後イレウスの発症率性が含まれる。

【結果】全体で195例(大建中湯群 n=96、プラセボ群 n=99)をper-protocol解析の対象とした。両群の患者背景には有意差はなかった。初回排便までの中央値は大建中湯群の方がプラセボ群より短く(94.7時間 vs 113.9時間;p=0.051)、高い服薬遵守を行った症例における中央値は、大建中湯群の方がプラセボ群より有意に短かった(93.8時間 vs 115.1時間;p=0.014)。術後12日目において、消化管障害≧2である症例は、大建中湯群の方がプラセボ群に比べ有意に少なかった(P=0.026)。

【結論】胃全摘術直後からの大建中湯を投与により、術後腸管機能の回復が早くなることが示唆された。

Impact Factor: 4.767