Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

フッ素化ピリミジンをベースにした結腸直腸癌の化学療法誘発性口腔粘膜炎に対する半夏瀉心湯の二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験

doi.org

【目的】漢方薬である半夏瀉心湯は、プロスタグランジンE2産生を抑制し、シクロオキシゲナーゼ活性に影響を与え、化学療法誘発口腔粘膜炎(COM)を軽減させる。我々は、半夏瀉心湯の結腸直腸がん患者のCOM発症および軽減に対する効果を検討するため、二重盲検プラセボ対照無作為比較検討試験を実施した。

【方法】FOLFOX、FOLFIRI、XELOXによる化学療法の期間中に中等度から重度(WHO基準 Grade1以上)のCOMを発症した結腸直腸がん患者93例を対象とし、無作為に半夏瀉心湯群(n=46)またはプラセボ群(n=47)に分けた。対象患者は、化学療法の次のコース開始から2週間プラセボもしくは半夏瀉心湯を投与された。対象患者には、1週間に3回、安全性とCOMの発症及びWHO基準に基づく重症度の評価を実施した。

【結果】キーオープン後の分析で、90例(半夏瀉心湯群43例、プラセボ群 47例)をper protocol解析の解析対象集団とした。プラセボ群に比べ半夏瀉心湯群ではGrade2以上の口腔粘膜炎の発症が低かったが、両群間に有意差はなかった(48.8% vs 57.4%;p=0.41)。Grade2以上の口腔粘膜炎持続期間の中間値は5.5日 vs 10.5日であった(p=0.018)。その他の有害事象に両群に差は認められず、患者の投薬コンプライアンスは良好であった。

【結論】試験では主要評価項目では結果が出なかった。しかしながら、半夏瀉心湯群ではプラセボ群に比べ結腸直腸がん患者のGrade2以上の口腔粘膜炎治療に有意な効果を示した。

Impact Factor: 2.769 PMID: 25983022 PMCID: PMC4485889