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漢方薬の代替医療からの脱出

肝がん患者の肝切除術後周術期管理における大建中湯の効果:多施設第Ⅲ相試験

doi.org

【目的】多施設第III相試験により、肝切除後の消化管疾患に対する大建中湯の効果を評価した。(UMIN登録番号 No.000003103)

【方法】日本の26施設で肝切除を行った、計231例を試験に登録した。患者は、手術の日を除いた手術前3日目より術後10日目まで、大建中湯またはプラセボ投与(15g/日、1日3回)群のどちらかに無作為に割り付けられた。主要評価項目は、抜管から術後の初回排便までの時間(FBM-T)、血清C-反応性タンパク(CRP)、アンモニア値とした。

【結果】最終的に、209名の患者(大建中湯群:108名、プラセボ群:101名)で統計解析を行った。初回排便までの時間の平均は、大建中湯投与群は88.2時間(95%信頼限界 74.0-94.1)で、プラセボ投与群は93.1時間(95%信頼限界 83.3-99.4)であり、大建中湯は初回排便までの時間を、プラセボ投与群より有意に早めることを示した。試験期間内において有意差はなかったものの、grade Bの肝障害患者において、大建中湯投与群の血清CRP値は、プラセボ投与群の血清CRP値より低い傾向であった。一方、2群の血清アンモニア値は、同レベルであった。大建中湯に関係する重篤な有害事象は、本試験中では発生しなかった。

【結論】大建中湯は肝切除後のgrade Bの肝障害患者の、消化管運動障害を改善し、血清CRP値を低下させると思われる。大建中湯は、肝癌患者において、肝切除後の有効な治療選択となりうる。

Impact Factor: 2.610 PMID: 24595550 臨床試験登録番号: UMIN000003103