Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

無作為臨床試験:女性機能性便秘症患者の消化管および結腸輸送能、直腸肛門並びに腸管機能に対する大建中湯の効果

DOI: 10.1111/apt.12264www.ncbi.nlm.nih.gov

【背景】術後イレウスや便秘症治療薬として使用される漢方薬の大建中湯は、用量依存的に消化管(GI)運動を亢進あるいは直腸コンプライアンス・感覚を低下させる。成人の便秘症に対する大建中湯の効果は不明である。

【目的】機能性便秘症(FC)を伴う女性患者に対し、1日3回大建中湯 2.5 g、5 gまたはプラセボを経口投与し、それぞれの薬剤のGI及び結腸輸送能(CT)、直腸コンプライアンス(RC)、直腸感覚閾値(RST)、肛門括約筋圧(ASP)および腸機能を比較した。

【方法】単一施設による無作為並行群間二重盲検薬力学試験を実施した。直腸排出障害を伴わないFC女性患者45名をプラセボ経口投与群あるいは大建中湯経口投与群(いずれも28日間投与)に割付けた。ベースライン時に人口統計学的データ並びにCTを測定し、CT(GC 1.9超あるいは1.9以下)及びBMI(25 kg/m2未満あるいは25 kg/m2以上)に基づき層別に割付けた。治療期間終了時にシンチグラフィー法を用いたGIとCT、バロスタット法によるRC、マノメトリ法によるASP、排便日誌による精神感覚症状と排便状況、及び、QOLを評価した。本試験は33%(CT)、40%(RC)、46%(RST)の効果量を検出しうる検出力を有している。統計解析にはBMIを共変量として含めた。

【結果】大建中湯はGI、CT、RC、ASP、直腸肛門圧差、RSTに対する有意な効果を示さなかった。大建中湯の1日3回5g投与は初回感覚と排ガスのRST低下に関与した(多重性未調整のp値はそれぞれp=0.045、0.024)。精神感覚症状、排便回数、便性状及びQOLに対する治療効果は認められなかった。

Impact factor: 7.357 臨床試験登録番号: NCT01139216