Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

肺がん患者における化学療法誘発性悪心および嘔吐を予防するための六君子湯:2つの前向き無作為化第II相試験の結果

dx.doi.org

六君子湯グレリン分泌を刺激し、化学療法で誘発した悪心・嘔吐(CINV)を改善させる可能性が示唆される。本研究は肺癌患者のCINVに対する六君子湯の有効性並びに安全性を検討した。肺がん患者を対象に、2つの独立した前向き無作為化第II相並行試験が実施した。高度催吐性化学療法(HEC)及び中等催吐性化学療法(MEC)を受ける肺がん患者それぞれ58例と62例を、1:1の割合で国際ガイドラインに基づいた標準的な制吐剤投与群(S群)または標準制吐剤と六君子湯の経口併用投与群(R群)に無作為に割り当てた。主要評価項目は化学療法後0-120時間の嘔吐及びレスキュー薬使用がない全体的な完全制御率(CR)とした。副次評価項目は急性期(0-24時間)並びに遅発期(24-120時間)のCRと安全性が含まれる。HECを受けた57例(S群28例、R群29例)とMECを受けた62例(S群30例、R群32例)を比較評価した。HEC試験のS群とR群のCRは全体(67.9% vs. 62.1%)、急性期(96.4% vs. 89.6%)、遅発期(67.9% vs. 62.1%)、MEC試験では全体(83.3% vs. 84.4%)、急性期(100% vs. 100%)、遅発期(83.3% vs. 84.4%)と類似していた。重篤な有害事象は認められなかった。六君子湯に対する忍容性は認められたものの、HECまたはMECを受けている肺がん患者のCINV予防に対する新たな効果は見られなかった。

Impact Factor: 3.845 PMID: 29387008 PMCID: PMC5776023

臨床試験登録番号: UMIN000014239UMIN000014240