Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

個別化ペプチドワクチンで治療された前立腺癌患者における漢方薬の免疫学的有効性

DOI: 10.1111/cas.13397www.ncbi.nlm.nih.gov

この無作為化第II相試験は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)を対象に個別化ペプチドワクチン(PPV)と漢方薬補中益気湯および桂枝茯苓丸を併用した免疫学的有効性を検討した。CRPCを伴う患者70例をPPV+漢方薬併用群とPPV単独群に割り当てた。PPV治療開始前に、患者のヒト白血球抗原タイプ並びに抗原特異的IgG力価のレベルに従って31種のペプチドの中から2-4種のペプチドを用いて8回に渡りPPVを皮下注射した。ペプチド特異的なCTL、IgG、制御性T細胞(Treg)、単球系骨髄由来免疫抑制細胞(Mo-MDSC)、インターロイキン-6(IL-6)の反応をワクチン前並びに8回目のワクチン接種後に測定した。臨床結果も分析した。PPV+漢方薬併用群は重篤な有害事象が見られず忍容性が確認された。抗原特異的IgG、CTL、Tregまたは臨床転帰に有意な変化は認められなかった。PPV+漢方薬併用群は、治療期間中のMo-MDSC(1.91%-1.92%、P=0.96)および血清IL-6レベル(19.2pg/mL-16.1pg/mL、P=0.63)を安定させた。対照的にPPV単独群では、Mo-MDSCおよびIL-6が有意に増加した(Mo-MDSC 0.91%-1.49%、IL-6 9.2pg/mL-19.4pg/mL)。これらの結果から、漢方薬の併用は、免疫療法中におけるMo-MDSCまたはIL-6で誘導される免疫抑制を防止する可能性を有することを示唆している。本研究による結果を検証するためには、より多くの研究が必要である。

Impact Factor: 4.751 PMCID: PMC5715291 臨床試験登録番号: UMIN000010290