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漢方薬の代替医療からの脱出

消化管および肺の悪性腫瘍患者の術後せん妄に対する抑肝散の無作為化第II相研究

dx.doi.org

本研究は消化管や肺悪性腫瘍手術待機患者の術後せん妄予防および/または治療に対する抑肝散の有効性及び安全性を評価したランダム化第II相試験である。本研究は消化管または肺悪性腫瘍の手術を受けた70歳以上の患者を登録した。登録患者186例を1:1比で周術期(術前7日から術後4日間、手術日を除く)に抑肝散または対照薬に無作為に割り当てた。せん妄の徴候および症状は周術期間中に、治験責任医師により精神障害の診断と統計マニュアルIV(DSM-IV)を用いて評価した。消化管または肺悪性腫瘍患者合計186例を分析した(抑肝散群93例;対照群93例)。2群間での顕著な差は認められなかった。せん妄発生率は抑肝散群で6.5%(6例)、対照群では9.7%(9例)で有意差はなかった(P=0.419)。しかしミニメンタルステート(MMSE)スコアが26以下であった患者のうち、術後せん妄発生率は抑肝散群で9.1%、対照群は26.9%であった[リスク比0.338; 95%信頼区間(0.078-1.462)、P=0.115]。対照群と比較して抑肝散群は、術後せん妄発生率を減少した。抑肝散は消化管または肺悪性腫瘍患者の術後せん妄予防または治療に寄与しなかったが、MMSE≦26であった患者の術後のせん妄の危険性を低下させた。術後せん妄に対する抑肝散の影響を明らかにするために、今後より大きなサンプルサイズを有する第III相試験が必要である。

CiteScore: 1.23 PMID: 28855990 PMCID: PMC5574201

臨床試験登録番号: UMIN000005423