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漢方薬の代替医療からの脱出

パーキンソン病患者の消化器症状治療における六君子湯の有効性および安全性プロファイルの非盲検試験:予備的研究

DOI: 10.1016/j.curtheres.2017.07.003

www.sciencedirect.com

【背景】パーキンソン病(PD)患者は一般的に運動障害以外に消化器疾患を含む非運動性症状に関連した苦しみを経験する。

【目的】この予備的研究では、PD患者の食欲不振及び消化不良に関連する消化器症状治療に対して、漢方薬六君子湯の有効性及び安全性プロファイルを評価した。

【方法】患者をA群(六君子湯7.5g/日 4週間投与後に4週間の投与中止期間)またはB群(4週間の投与中止後に 六君子湯7.5g/日 4週間投与)に無作為に割り付けた。食欲、生活の質(QOL)、消化器症状はそれぞれVAS、消化器症状評価尺度(GSRS)、うつ性自己評価尺度(SDS)で評価した。胃排出能及び血漿アシルグレリンはそれぞれ13C-acetate呼気試験及び市販のアッセイキットを用いて測定した。

【結果】食欲スコアは六君子湯投与中止期間では減少したが(-1.36[2.94])、六君子湯投与で有意に増加した(1.84[2.34]; P<0.05)。GSRSによる腹痛の平均スコアおよびSDSによる自己申告のうつ病も投与中止期間と比較し、六君子湯投与によって有意に低下した(P<0.05)。血漿アシルグレリン及び胃排出能率に対する六君子湯の影響は見られなかった。

【結論】六君子湯はPD患者の食欲不振を改善する可能性が示唆された。うつ病や食欲不振にもたらす六君子湯の好影響は、PD患者の全体的なQOLを改善する可能性がある。この予備的研究で明らかになった六君子湯の有用性は、今後無作為二重盲検比較対照試験を実施し確認する必要を有する。

CiteScore: 1.60 PMID: 28912900 PMCID: PMC5583142

臨床試験登録番号: UMIN000009626