Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

小児の再発性急性中耳炎における十全大補湯の無作為化比較試験

DOI: 10.1016/j.anl.2016.10.002

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【目的】小児の再発性急性中耳炎(AOM)は、世界中で急激に増加している。抗生物質の反復使用は、抗生物質耐性病原菌を進行させる。補完代替医療の手法は、従来の抗菌剤の補充治療オプションとして提案されている。本ランダム化並行群間オープンラベル非漢方薬対照比較試験で、中耳炎になりやすい小児において、AOM予防に対する十全大補湯の有効性を評価した。

【方法】6-48ケ月齢のAOMを再発しやすい小児を、日本の耳鼻科クリニック26医院から募集し、十全大補湯(0.10〜0.25g/kg/日)を1日2回経口投与する場合としない場合で、日本のガイドラインに基づき、従来のAOM治療を受けた。AOMや鼻風邪の発生回数の平均数、1か月の抗生物質投与合計期間を、3ヶ月の治療期間で比較した。

【結果】追跡期間中、少なくとも1回のAOMの発症は、十全大補湯投与群で71%、対照患者群で92%であった。十全大補湯は、従来の治療のみ受けた小児と比較して、57%までAOMの発現頻度を減少し(0.61±0.54 vs 1.07±0.72 AOM症例/月P=0.005)、有意に鼻風邪の発症数(P=0.015)と抗生物質投与合計期間(P=0.024)も減少させた。

【結論】本研究は、漢方薬による再発性AOM予防の、初めての報告である。十全大補湯は、小児の再発性AOMの予防に、効果的であると思える。再発性AOMと上気道感染症に対する、十全大補湯の有効性を確認するためには、今後二重盲検試験が必要である。

CiteScore: 1.46 Impact Factor: 1.444 PMID: 27810126

臨床試験登録番号: UMIN000002871