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漢方薬の代替医療からの脱出

子宮頸がん・子宮体がん患者におけるシスプラチン/パクリタキセル化学療法による嘔気・嘔吐・食欲不振に対する六君子湯併用療法の効果:無作為化第II相試験(JORTC KMP-02)

DOI: 10.3802/jgo.2017.28.e44

ejgo.org

【目的】六君子湯は、日本において広く食欲不振や機能性胃腸症治療に用いられる漢方薬で、シスプラチン誘発性摂食低下回復効果が報告されている。 我々は、シスプラチン療法施行患者の化学療法誘発性嘔気・嘔吐(CINV)・食欲不振に対する六君子湯の改善効果を検討した。

【方法】シスプラチン(50mg/㎡, day1投与)/パクリタキセル(135mg/㎡, day0投与)を第一選択化学療法とする子宮頸がん・子宮体がん患者を、Day0-Day13に六君子湯と制吐剤を経口投与した六君子群と制吐剤のみを投与した対照群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、シスプラチン投与後0-120時間の完全制御率(嘔吐なし、レスキュー薬投与なし、有意な嘔気なし)とした。試験計画において、両側検定p<0.20を有意とみなした。

【結果】全期間(0-120時間)における完全制御率は、六君子湯群の方が対照群と比較し有意に高かった(57.9% vs. 35.3%、p=0.175)。副次評価項目である遅発期(24-120時間)の完全制御率(63.2% vs. 35.3%、p=0.095)、全期間(84.2% vs. 52.9%、p=0.042)及び遅発期(84.2% vs. 52.9%、p=0.042)の完全奏功(CR)率(嘔吐およびレスキュー薬投与なし)は、治療失敗までの時間(p=0.059)も同様だった。VAS評価による食欲に関しては、Day2-からDay6において六君子群の方が優れているようにみえた。

【結論】六君子湯の併用療法は、CINV及び食欲不振の抑制効果を示した。

Impact Factor: 2.914 PMID: 28657216 PMCID: PMC5540714

臨床試験登録番号: UMIN000011227