Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

内視鏡的逆行性胆道膵管造影時の十二指腸蠕動における芍薬甘草湯の影響:無作為化比較対照試験

dx.doi.org

【目的】抗コリン作動薬は十二指腸蠕動阻害のために使用されるが、副作用が懸念される。芍薬甘草湯は抗痙攣作用があり、上部消化管内視鏡及び大腸内視鏡検査に使用される。本研究は内視鏡的逆行性胆管造影(ERCP)開始前に芍薬甘草湯を十二指腸投与し、同剤の十二指腸蠕動抑制作用に対する有用性を検討した無作為化臨床試験である。

【方法】2008年6月から2010年12月の間に患者登録を行った。全例18歳以上で書面による同意書を取得した。除外基準は急性膵炎、虚血性心疾患歴、前立腺肥大または緑内障、および術後または上部消化器の解剖学的構造の変化であった。患者は芍薬甘草湯投与群および対照群に無作為に割り当てた。内視鏡検査中に芍薬甘草湯溶液100mg/mL又はプラセボ(温水)を十二指腸に直接スプレーした。有効性は十二指腸蠕動の範囲の観察、総胆管へのカニューレ挿管困難、投与から十二指腸蠕動抑制までの所要時間(RT)及び蠕動停止持続時間(DT、蠕動運動が阻害された期間)で評価した 。副作用は、ERCP後の血清カリウム濃度を測定し評価した。

【結果】患者28例中15例を芍薬甘草湯群、13例を対照群に割り当てた。十二指腸蠕動は芍薬甘草湯群10例中8例(80.0%)、対照群9名中0名で抑制された(P=0.026)。芍薬甘草湯群の平均RT(±標準偏差)は76.0±23.9秒、DTは11.3±4.2分であった。ERCP実施中または実施後の副作用は芍薬甘草湯群では認められなかった。

【結論】芍薬甘草湯溶液の十二指腸への直接噴霧によって十二指腸蠕動が抑制される可能性が示唆された。

Impact Factor: 2.265 PMID: 28077962 PMCID: PMC5223528

臨床試験登録番号: UMIN000011469