Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

末梢の冷えを自覚する女性の末梢血流に対する漢方薬の効果:無作為化比較試験

dx.doi.org

【背景】日本では、末梢の冷えの治療に漢方薬である当帰四逆加呉茱萸生姜湯がよく用いられる。これは日本女性にはよくみられる訴えである。しかしながら、この処方の効果が無作為化比較試験で検討されたことはまだない。本研究において、末梢の冷えを自覚する女性の末梢血流に対する当帰四逆加呉茱萸生姜湯の効果を並行群間無作為化比較試験で検討した。

【方法】末梢の冷えを自覚する23歳から79歳までの女性48例を、無作為に当帰四逆加呉茱萸生姜湯投与群と対照群とに分けた。試験開始時の2010年1月、その後は2010年3月、2011年1月、2011年3月にそれぞれ、冷水負荷試験、臨床検査、質問票を用い評価した。

【結果】試験開始時には両群間の臨床的特徴に差はなかった。末梢の冷えは、投与群では試験開始以後に改善し、対照群では持続した。冷水負荷試験後の末梢血流回復率の平均は、投与群17.2%と対照群-28.2%であり(p=0.007)、50%以上の回復をみた症例の割合は投与群32%と対照群0%であった(p=0.0007)。皮膚温の回復率には両群間に差は認められなかった。

【結論】本研究結果は、漢方薬が末梢血流の改善を介して女性の末梢の冷えを改善することを確認するものとなった。

Impact Factor: 2.479 PMID:25886635 PMCID: PMC4405845