Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

胃全摘術後の腸管運動に対する大建中湯の効果:前向き無作為化試験

DOI: http://dx.doi.org/10.1007/s11605-014-2730-ylink.springer.com

【目的】この研究の目的は、胃癌術後の腸管機能障害に対する、広く用いられている漢方薬である大建中湯の有効性を評価することである。

【方法】胃全摘術を予定している胃がん患者は、手術前に無作為に割り付けられ、非投与(n=40、対照群)と大建中湯(7.5g/日、分3)術後3ヶ月間(n=41)のいずれかを受けた。腸管運動、便性状、腸内ガス量、QOLイレウス発症率について検討した。

【結果】入院期間中、大建中湯群と対照群とを比較すると、1日排便回数(1.1±0.6 vs 0.8±0.4 ; P=0.037)、便性状(Bristol 排便スケールで 3.7±0.8 vs 3.1±0.8 ; P=0.041)において有意な差が認められた。大建中湯群では、術後7日目、1ヵ月目、3ヵ月目の腹部X線画像から算出した腸内ガス量が有意な減少を示した。QOL(GSRSに基づく評価)及び術後イレウス発症率は両群間で有意差は認められなかった。

【結論】大建中湯により腸管運動、便性状、腸内ガス量が改善した。これらの結果は、大建中湯が胃全摘術後早期の腸管運動を促進したことを示唆している。

Impact Factor: 2.813 PMID: 25564322 臨床試験登録番号: UMIN000002090