Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

特発性肺線維症患者の消化管症状に対するピルフェニドンと漢方薬併用療法

www.ncbi.nlm.nih.gov

ピルフェニドンは肺線維症患者に用いられる抗線維化剤であるが、副作用として消化管症状を有する。本研究における第一の目的は、逆流症状および運動不全症状に関する新たな質問票を用いて、ピルフェニドンによる消化管症状について解析することである。漢方薬である六君子湯を追加投与することで、ピルフェニドンに起因する消化管症状を改善できるかどうかも検討した。本研究は、特発性肺線維症患者17例を対象にした無作為化比較試験で、症例を2群に分け、試験期間を8週間とした。ピルフェニドン群はピルフェニドン療法8週間中4週間に六君子湯を追加投与、対照群はそのどちらの薬剤投与も受けていないグループとした。六君子湯の効果を検討するため、血漿アシルグレリン濃度及びデスアシルグレリン濃度、血清KL-6、サーファクタントD、肺機能検査を実施した。ピルフェニドン 600㎎/日投与開始から2週間が最も消化管症状が重篤であった。逆流症状と運動不全症状が共に悪化した。六君子湯投与により消化管症状はピルフェニドン投与前の状態まで改善した。血漿デスアシルグレリン濃度とA/D(アシル/デスアシルグレリン)比は2週時に比べ8週時で有意な変化を示した。ピルフェニドンによる副作用である消化管症状は600㎎/日投与開始後2週間が最も重篤で逆流症状・運動不全症状ともに悪化したが、投与量1200㎎/日まで十分に忍容できた。六君子湯投与により消化管症状は改善したが、血漿グレリン濃度はその改善を反映しなかった。