Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

日米の健常ボランティアにおける大建中湯の母集団薬物動態分析

doi.org

我々は、漢方薬である大建中湯の5成分について母集団薬物動態モデル(PPKモデル)を構築した。データは日米で実施した2つの無作為化薬物動態試験から集積した。被験者は大建中湯2.5 g, 5 g及び10 gを単回経口投与され、5つの大建中湯成分、hydroxy-α-sanshool(HAS)、hydroxyl-β-sanshool(HBS)、6-shogaol(6S)、10-shogaol(10S)、及び ginsenoside Rb1(GRB1)の血漿中濃度をLC-MS/MSにより測定した。全体で55名(米国、n=36;日本、n=19)の被験者より得た1859のサンプルが本解析に用いられた。HAS、HBS、6S及び10Sの母集団薬物動態モデルは、1あるいは2-コンパートメントの急速投与モデルにより最も適切に記述された。一方、GRB1の母集団薬物動態モデルは非線形吸収を持つ1-コンパートメントモデルにより記述された。検討した共変量の内、BMIと年齢がHASとHBSのクリアランスと分布容積に影響することが見出され、6Sのクリアランスと分布容積に体重が影響した。日本の試験と米国の試験においてHASとHBSの血漿中濃度に著しい差が認められた。しかし、シミュレーションの結果、この血漿中濃度の差はBMI、体重及び年齢のような患者背景の差で説明でき、日本と米国の民族的違いは大建中湯の薬物動態に影響しないものと考えられた。

Impact Factor: 3.64 PMID: 23545807 臨床試験登録番号: JapicCTI101114