Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

大建中湯は腹腔鏡下大腸切除術後の腸管運動を亢進する

www.ncbi.nlm.nih.gov

【背景および目的】腹腔鏡下大腸切除術後においてしばしば麻痺性イレウスが発生する。我々は、漢方薬である大腸切除術を施行された大腸癌患者における大建中湯の小腸運動改善作用を検討した。

【方法】岩手医科大学病院において2010年10月から2012年3月迄の期間に大腸切除術を施行された54例を無作為に2群に分け、大建中湯 7.5g/日(大建中湯群)または乳酸菌製剤 3g/日(対照群)を経口投与した。主要評価項目は初回排ガスまでの時間、初回排便までの時間、管抜去後の摂食状況とした。副次的評価項目は白血球数(WBC)、C反応性蛋白(CRP)レベル、入院日数および術後イレウスの発症状況である。大腸通過時間はX線不透過マーカーを用い、腹部X線にて測定した。

【結果】大建中湯群26例、対照群25例の計51例が、研究実施計画書に適合した解析対象であった。大建中湯群は初回排ガスまでの時間(67.5±13.6h vs. 77.9±11.8h、p<0.01)、初回排便までの時間(82.9±17.8h vs. 99.5±18.9h、p<0.01)、大腸通過時間(91.9±19.8h vs. 115.2±12.8h、p<0.05)において、対照群より有意に速かった。副次的評価項目と有害事象は、両群間に有意差は認められなかった。

【結論】大建中湯は腹腔鏡下大腸切除術後の腸管運動を亢進した。