Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

ヒトのチトクロームP450 1A2、キサンチンオキシダーゼおよびN-アセチルトランスフェラーゼ2活性に対する慢性気道疾患の治療に使用される麦門冬湯の生体内効果

DOI: 10.1211/0022357044094

www.ncbi.nlm.nih.gov

日本では慢性気道疾患治療として6つの生薬で構成される麦門冬湯を使用する。今回我々はチトクロームP450(CYP)1A2、キサンチンオキシダーゼならびにN-アセチルトランスフェラーゼ2の活性に対する麦門冬湯の効果を検討するため、健常人26例を対象とした二重盲検無作為プラセボ対照交差試験を実施した。3つの酵素のベースライン活性は、カフェイン150mgを経口投与後8時間の各々の尿中代謝比で評価した。その後対象者は麦門冬湯を3.0gまたはプラセボを1日3回、7日間投与し、そして投与後1日目と7日目に上述のカフェイン摂取試験を行った。麦門冬湯またはプラセボを投与した1日目とベースラインと比較した3酵素の活性値に統計的有意差は見られなかった。麦門冬湯を投与後7日目のCYP1A2、キサンチンオキシダーゼおよびN-アセチルトランスフェラーゼ2の平均活性は、ベースライン並びにプラセボ投与後7日目と比較し低くなる傾向を示した。しかしこれらの変化はCYP1A2(P=0.120)、キサンチンオキシダーゼ(P=0.123)またはN-アセチルトランスフェラーゼ2(P=0.056)で統計的に有意ではなかった。結論として麦門冬湯は、ヒトのCYP1A2、キサンチンオキシダーゼまたはN-アセチルトランスフェラーゼ2の活性に対して実質的な影響が見られないように思われる。

Impact Factor: 2.309