Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

G-PRIDE研究において、六君子湯が有効であった高齢PPI治療抵抗性非びらん性胃食道逆流症症例の臨床的特徴

 

dx.doi.org

 【背景】日本における胃食道逆流症(GERD)は、高齢女性で発症率と重症化が増加する傾向にある。漢方薬である六君子湯は、消化管運動調整作用をあらわし、胃排出能と胃適応性弛緩を改善する。我々の実施した前向き無作為化プラセボ対照比較検討試験において、ラベプラゾール(RPZ)標準用量と六君子湯の併用治療により、PPI治療抵抗性非びらん性胃食道逆流症(NERD)患者の中でも高齢者の酸関連運動不全症状(ARD)が有意に改善した。本研究は、六君子湯が有効であった高齢者PPI治療抵抗性NERD症例の臨床的特徴を明らかにすることにある。

【方法】PPI治療抵抗性NERD症例 242例を、無作為に六君子湯群[RPZ(10mg /日、分1)+六君子湯(7.5g/日 分3)]またはプラセボ群[RPZ+プラセボ]に分け、8週間の試験を実施した。このうち95例が、高齢(≧65歳)のARD症例(六君子湯群 52例;プラセボ群 43例)であった。この両群について、FSSG質問票の12項目とGSRSの15項目の4週および8週時の変化と治療効果を比較検討した。

【結果】喫煙率を除き、2群間の患者背景や臨床的特徴に明らかな差は認められなかった。FSSGスコア(平均値±SD、各々0週、4週、8週の順)は六君子湯群(16.0±7.0、9.9±8.4、7.0±6.4)およびプラセボ群(15.1±6.4、10.9±6.7、11.1±8.5)と両群とも有意に減少した。しかし、8週時におけるFSSG全体スコアとARDスコアの改善の度合いは、六君子湯群の方がプラセボ群よりも有意に大きかった。8週間の六君子湯併用により、ARD質問票のうち3項目(腹部膨満感、食後の胃もたれ感、食後の嘔気)と酸逆流関連症状の1項目(食後の胸やけ)が有意に改善していた。

【結論】六君子湯PPI治療抵抗性非びらん性逆流性食道炎NERD)患者の中でも高齢者の連運動不全症状(ARD)の改善に有用であることが示唆された。従って、六君子湯は特に食後に関連するGERD症状(食後の胃もたれ、嘔気、胸やけ)の改善に効果的であったといえる。

Impact Factor: 2.731 PMID: 24990161 PMCID: PMC4090183