Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

羊水過少症に対する五苓散の治療効果:五苓散は羊水過少症における最大羊水深度を増加させる

 

【目的】羊水過少は胎児の生命予後の悪化もたらす。 産科の臨床現場において羊水過少管理は重要である。我々は羊水過少症に対する五苓散の臨床的有効性を検討した。

【方法】羊水過少(最深羊水ポケットが3cm未満に減少)治療開始前後に最も深い羊水ポケット(SDP)の変化を評価した。羊水過少が認められる妊婦計51例を本研究に登録した。五苓散(7.5g/日)投与妊婦27例と未投与妊婦24例のSDP変化を比較した。両群におけるSDP変化の初回測定はSDPが3cm未満になった時点で測定し(開始点:SP)、2回目の測定は次の定期検査時で測定した(終了時点:EP)。

【結果】五苓散投与妊婦におけるSP(2.37±0.41cm)(平均±SD)からEP(3.15±0.62cm)(平均±SD)までの平均SDPに有意な増加が見られた(P<0.001)。対照的に、未投与妊婦のSP(2.5±0.15cm)(中央値±四分位)(非正規分布)からEP(2.63±0.68cm)(平均±SD)に有意差は見られなかった(P=0.59)。

【結論】五苓散は羊水過少症治療に有用であった。本研究で得られた結果の検証にはさらなる研究が必要である。しかし羊水過少症治療に対する五苓散の新たな適用は、臨床的にも応用可能であると考えられる。