Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

経口投与後の大建中湯活性成分の腸管内、門脈内、末梢血内プロファイル

 

DOI: 10.1002/prp2.165

www.ncbi.nlm.nih.gov

医療用漢方製剤である大建中湯は、構成生薬として山椒、乾姜および人参を含むが、日本において広くさまざまな腸管の疾患に用いられるほか、米国で治療薬としての開発が進められている。大建中湯成分は、管腔側 からと吸収後に末梢血流を介した2つのルートで薬理的な作用を発揮することが示された。したがって、大建中湯の薬理的作用の完全な理解のためには、大建中湯成分の摂取後の管腔内の量と存在形態を知ることが重要である。本研究では、大建中湯をラットに投与したときの大建中湯成分の濃度と末梢血、門脈血中および回腸内容物をLC/MS/MSで決定した。次に小腸は健常であると診断された人工肛門バッグをつけた患者に大建中湯を投与し、回腸内容物中の大建中湯成分とその抱合体を分析した。その結果を以下のように示した。(1)山椒成分であるハイドロキシサンショオール類は、速やかに吸収されて、体循環に入る。(2)人参成分であるジンセノサイド類は大腸に運ばれ、わずかに吸収される。(3)乾姜成分であるギンゲロール類は吸収され、小腸で抱合され、門脈を介して輸送される。極少量のギンゲロール類とギンゲロール抱合体は体循環に入り、かなりの量が小腸で再出現する。このように、腸管での大建中湯の効果は、複数の成分が複数のルートを介してもたらした複数の効果の複合体であると考えられる。

CiteScore: 2.687 PMCID: PMC4618637