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漢方薬の代替医療からの脱出

パーキンソン病に伴う胃不全麻痺に対する六君子湯の改善効果:予備的研究

 

DOI: 10.1159/000355608

www.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】パーキンソン病患者(PD)の胃不全麻痺に対する六君子湯の効果を非盲検試験で検討した。13C呼気試験を胃排出能の客観的評価のため実施した。

【方法】PD患者21例を本試験の対象とした。男性11例、女性9例で患者背景は以下の通り(数値は平均値±SD)。年齢 69.4±8.17歳、罹病期間 4.34±4.03年、modified Hoehn & Yahr 重症度分類 2.37±0.98、UPDRSⅢ運動スコア(Unified Parkinson's Disease Rating Scale Part 3 motor score)16.6±7.37。14例は便秘治療のため来院。PD治療については、16例がレボドパ/カルビドパ(平均服用量 288±72mg/日)、2例がドパミン刺激薬、残りの症例は未治療であった。呼気試験は全例に実施した。統計解析はStudent's t -testで行った。

【結果】六君子湯は全例で高い忍容性を示し、製剤の苦さはあったが、腹痛や副作用の発生はなかった。六君子湯により、13C呼気試験における呼気中排出量ピーク時間が有意に短縮した(p<0.05)。

【結論】本予備的研究において、PD患者に六君子湯を投与した結果、胃排出時間が有意に短縮した。今後、PD患者に対する胃排出能およびdelayed-on現象(PDにおける運動の日内変動)の両者を検討することを勧めたい。

Impact Factor: 1.562