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漢方薬の代替医療からの脱出

慢性便秘に伴う腹部膨満感に対する大建中湯の効果:前向き単施設無作為非盲検試験

DOI: 10.1016/j.curtheres.2015.04.002

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

【背景】大建中湯は、消化管疾患の治療に広く用いられている。我々は、慢性便秘症患者の腹部膨満感に対する大建中湯の有効性と安全性を検討した。

【目的】腹部膨満感の治療に対する大建中湯の有効性・安全性の評価。

【方法】10例の患者に、下剤の頓用を中止した後、大建中湯(15.0g/日)を14日間経口投与した。小腸内細菌異常増殖症(SIBO)の評価のため、大建中湯投与前後にグルコース水素呼気試験を実施した。投与開始前、グルコース水素呼気試験が陽性であったことから4例(40%)がSIBOと診断された。SIBO症例と非SIBO症例、両群とも大建中湯投与後も排便回数や便性状の変化はなかった。

【結果】全体で、総Gastrointestinal Symptoms Rating Scale (GSRS)スコアの中央値、GSRS下位尺度のうち消化不良と便秘の中央値が有意に減少した。一方、膨満感の減少を示すVAS中央値は有意に増加した。SIBO群も非SIBO群のどちらもこれらの症候の改善をしていたことから、大建中湯は小腸の腸内細菌には影響を及ぼさないことが示された。重篤な副作用は報告されなかった。

【結論】大建中湯治療は、SIBOの有無に関わらず慢性便秘患者のQOLを改善した。また、小腸内細菌には影響を及ぼさないことが示唆された。

CiteScore: 1.62 PMCID: PMC4812817

臨床試験登録番号: UMIN000008070