Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

アルツハイマー型認知症のBPSDに対する抑肝散治療

DOI: 10.1016/j.pnpbp.2010.02.016

www.sciencedirect.com

非盲検試験において、アルツハイマー病(AD)患者の認知症の行動および心理学的症状(BPSD)の治療における漢方薬の抑肝散の有効性および安全性を調べた。この研究には、ADを有すると診断され、塩酸ドネペジルで治療されなかった26例が登録されていた。これらの患者には、研究治療の開始から完了までの期間における神経心理学的試験結果および介護負担の変化を調べるために、4週間にわたって抑肝散(7.5g /日)を投与した。BPSDの評価のためにNeuropsychiatric Inventory(NPI)が、認知機能の評価のためにMini-Mental State 試験(MMSE)が、介護者の負担評価のためのザリット負担尺度が、日常生活動作(ADL)の評価のために認知症障害評価(DAD)が、介護者のうつ状態の評価のためのに自己評価抑うつ尺度(SDS)が使用された。4週間の治療後にMMSEおよびDADに有意な変化は見られなかったが、平均NPI総スコアは有意に減少した。さらにNPI下位尺度の中では、スコアの統計的に有意な低下は見られなかったが、幻視、興奮、不安、過敏性または異常行動に関して臨床的には顕著な減少が見られた。4週間の治療後に介護者の負担に大きな変化は見られなかった。抑肝散に対する重篤な有害反応は観察されなかった。この研究の結果は、抑肝散がAD患者のBPSDの治療において効果的かつ忍容性のある薬剤であり得ることを示唆した。

Impact Factor: 4.185 PMID: 20184936