Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

半夏瀉心湯(TJ-14)が放射線化学療法による粘膜炎を緩和し、治療完了率を向上させる。

DOI: 10.1007/s00520-014-2315-z

link.springer.com

【目的】放射線および化学放射線療法による口腔粘膜炎は、頭頸部癌の治療を受けている患者にとってQOLに大きな影響を与える。本研究では、日本の伝統薬である半夏瀉心湯(TJ-14)の放射線誘発性口腔粘膜炎に対する有効性を検討した。

【方法】化学療法(高用量シスプラチンまたは低用量ドセタキセル)を併用または併用せずに60 Gy以上の全頸部放射線を受けた患者80人をこのレトロスペクティブ研究に登録し、40人は治療中にTJ-14を受け、40人は受けていない(対照)。口腔粘膜炎の緩和に関連する因子を多変量ロジスティック回帰分析により同定した。TJ-14投与群と対照群との間で,治療レジメンに応じた(化学)放射線治療の完了率を比較した。また、群間の栄養状態の比較も行った。

【結果】多変量解析の結果、TJ-14 の使用(p = 0.019)、性別(p = 0.024)、原発巣の位置(p = 0.028) が口腔粘膜炎の重症度と関連する有意な因子であることが示された。TJ-14は、シスプラチンによる化学放射線療法の完遂率の有意な改善と関連していた(p=0.002)。栄養状態の調査では、血清アルブミンだけが、(化学)放射線照射前後の平均変化量において、対照群よりもTJ-14群で有意に良好に維持されていた(p=0.024)。

【結論】本研究では、TJ-14が頭頸部癌患者における(化学)放射線による口腔粘膜炎を改善する効果があることを示した。また、TJ-14はシスプラチンを用いた化学放射線療法の完遂率向上と関連していた。頭頸部癌患者における化学放射線誘発性粘膜炎に対するTJ-14の有効性を確認するためには、無作為化比較試験が必要である。

Impact Factor: 2.676 PMID: 24943276