Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

造血幹細胞移植患者における口腔粘膜炎予防のための半夏瀉心湯:無作為化第II相試験

doi.org

【目的】口腔粘膜炎(OM)はがん治療に伴う副作用である。漢方薬である半夏瀉心湯はもともと下痢、胃炎、口内炎の治療に処方されていた。胃がんや大腸がん患者の化学療法によって誘発されたOMに対する半夏瀉心湯の効果については、いくつかの報告がある。本研究では、造血幹細胞移植(HSCT)を受ける患者において、OMの予防に対する半夏瀉心湯の効果を検討した。

【方法】2020年7月から2021年12月にかけて、同種移植を受ける予定の患者30例を登録した。無作為に2群に割り付け、1日3回、半夏瀉心湯を生理食塩水に溶解したものを使用するか、生理食塩水のみを使用して口腔内を洗浄するよう指示した。観察期間は移植前処置の開始日から生着日までとし、主要評価項目はOMの発生率とした。

【結果】18例がOMを発症し、最も重篤なものはグレード(G)3であった。半夏瀉心湯群と対照群との間でOMの発生率に有意差はなかった。しかし、半夏瀉心湯の使用期間とOMの期間との間には負の相関が観察される傾向があった(G2-3:P=0.027、G3:P=0.047)。

【結論】本研究では、半夏瀉心湯の使用はOMの発症を明確に抑制しなかったが、OMの増悪を抑制する傾向を示した。しかし、造血幹細胞移植を受けた患者におけるOMに対する半夏瀉心湯の効果を十分に理解するためには、さらなる研究が必要である。

PMCID: PMC10657322 Impact Factor: 3.1