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漢方薬の代替医療からの脱出

感染後の嗅覚機能障害に対する当帰芍薬散とメコバラミンの有効性: 多施設共同前向き研究

DOI: 10.1016/j.anl.2023.04.010

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

【目的】感染後嗅覚障害(PIOD)に対して、ビタミンB12(メコバラミン)と比較して、当帰芍薬散が有効かどうかを判断する。

【方法】無作為化非盲検臨床試験を実施した。2016年から2020年にかけて17の病院・クリニックに登録されたPIOD患者をランダムに2群に分け、当帰芍薬散またはメコバラミンを24週間投与した。その嗅覚機能をインタビューとT&Tオルファクトメトリーで調べた。嗅覚機能障害の改善度は、日本鼻科学会の基準に従って評価した。

【結果】全体として、82例のPIOD患者がこの研究に登録された。当帰芍薬散群およびメコバラミン群では、39例が投薬治療を完了した。当帰芍薬散群およびメコバラミン群では、自己申告および嗅覚検査結果に基づいて、嗅覚機能障害が有意に改善された。嗅覚障害の改善率は、当帰芍薬散群で56%、メコバラミン群で59%であった。3ヶ月以内の早期介入は、4ヶ月以降に開始された治療よりも予後が良好であった。さらに、年齢や性別による差は認められなかった。両薬剤とも重篤な有害事象は認められなかった。

【結論】本研究は、当帰芍薬散とメコバラミンがPIODの治療に有用である可能性を示した。