Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

薬理微生物学による、悪性腫瘍に関連する閉塞性黄疸の患者における茵蔯蒿湯の有効性の予測

doi.org

茵蔯蒿湯は、日本で広く使用されているよく知られた胆汁分泌促進性および肝保護性の漢方薬である。茵蔯蒿湯の主成分であるゲニポシドは腸内細菌によってゲニピンに代謝され、胆汁分泌促進効果を発揮する。この研究では、悪性閉塞性黄疸患者における糞便ゲニピン産生活性と茵蔯蒿湯の臨床効果の多様性との関係を調査した。外部胆道ドレナージを受けた悪性閉塞性黄疸の52例が登録された。茵蔯蒿湯は、1日3包(7.5 g /日)で3日間、2.5gとして4日目の朝に投与された。茵蔯蒿湯投与前に糞便サンプルを採取し、胆汁の流れを毎日モニターした。便中のマイクロバイオーム、ゲニピン産生活性および有機酸を分析した。Shannon-Wiener(SW)インデックスは、腸内細菌叢の多様性を評価するために計算された。糞便ゲニピン産生活性は、SW指数と有意な正の相関を示した。糞便ゲニピン産生活性は、クロストリジウム菌(偏性嫌気性菌)と正の相関があったが、乳酸菌(通性嫌気性菌)とは負の相関があった。さらに、糞便ゲニピン産生活性は、吉草酸の濃度と正の相関があったが、乳酸とコハク酸の濃度とは負の相関があった。茵蔯蒿湯投与後2日および3日での胆汁流量の変化は、ゲニピン産生活性と有意な正の相関を示した(相関係数、それぞれ0.40および0.29、P<0.05)。糞便ゲニピン産生活性を含む糞便プロファイルの分析により、茵蔯蒿湯の有効性を予測できる可能性がある。マイクロバイオームの調節は、茵蔯蒿湯の治療効果を高めるための標的となる可能性がある。

PMID: 34798264 CiteScore: 10.1 Impact Factor: 7.658