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漢方薬の代替医療からの脱出

加味逍遙散の更年期症状への効果を調査するための多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験:KOSMOS研究

doi.org

【目的】多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験であるKOSMOS研究では、更年期障害の治療における加味逍遙散の効果と安全性を調査した。

【方法】更年期障害のある日本人女性は、4週間の導入期間中にプラセボを投与され、その後、日本人女性の更年期症状評価票修正版(m-QACS)のスコアが興奮性と過敏性を主な結果として3ポイント以上改善した群はプラセボ応答者(R群)として分類し、それ以外はプラセボ非応答者(NR群)とした。NR群の症例は、加味逍遙散またはプラセボのいずれかを投与されるよう無作為に割り当てられた。12週間後、m-QACSスコア、不安とうつ、睡眠、および全体的な生活の質(QOL)を比較した。

【結果】NR群での加味逍遙散群およびプラセボ群にはそれぞれ20例が含まれた。ベースラインに対する12週間での興奮性および過敏性に関するNR群の症例のm-QACSスコアの変化は、加味逍遙散群で-3.1±1.7であり、有意な減少だったが、プラセボ群の-2.7±2.2と比較して、2群間に有意差はなかった。ただし、スコアが3ポイント以上向上した参加者の割合は、加味逍遙散群で有意に高かった。閉経前の女性のサブグループ解析では、興奮性と過敏性のスコアの変化は、加味逍遙散群で有意に大きかった。副作用または有害事象の発生率は両群間で差がなく、重篤な事象は報告されていない。

【結論】主要評価項目について有意差は確認されなかったが、加味逍遙散を投与された患者は極めて高い割合で改善を示した。その高い安全性と閉経前の女性の興奮性と過敏性への効果は、加味逍遙散が有用な治療法である可能性があることを示唆している。

CiteScore: 2.900 Impact Factor: 1.813 PMID: 33727945 PMCID: PMC7935592