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漢方薬の代替医療からの脱出

六君子湯が膵頭十二指腸切除術後の胃排出遅延および経口食事摂取に及ぼす影響:前向き無作為化単一施設非盲検試験

doi.org

【はじめに】膵頭十二指腸切除術(PD)後の胃排出遅延(DGE)は依然として重要な問題である。経口摂取の早期回復のための効果的な治療法が不足している。六君子湯は、胃内容排出の促進剤として注目を集めている。PD後のDGEに対する六君子湯の効果を評価した。

【方法】この前向き無作為化非盲検試験では、患者はPDの前に、追加治療を受けなかった六君子湯群または対照群に1:1の比率で無作為に割り当てられた。六君子湯群は、術後日(POD)1からPOD21まで1日3回2.5g(7.5g/日)の六君子湯を投与された。主要評価項目はDGEの発生率とした。副次的評価項目は、経口食事摂取量およびホルモンのグレリンとレプチンのレベルの周術期の変化を含む短期の術後転とした。患者は退院するまで観察された。

【結果】各群の26例(n=52)が治療プロトコルを完遂し、解析集団に含まれた。基本的特性と手術の要素に統計的に有意な差はなかった。DGEの全体的な発生率は、六君子湯群と対照群の間で統計的に異ならなかった(30.8%対30.8%、p>0.9999)。POD14およびPOD21までの総食事摂取量(TDI)で表される術後の経口食事摂取量、合併症、および入院期間に統計的に有意な差はなかった。この研究に関連する有害事象は観察されなかった。六君子湯群では、対照群よりも総グレリンとアシルグレリンが有意に増加し、レプチンは有意に早く減少した。

【結論】POD1から21までの六君子湯治療は、DGEの発生率を低下させず、ホルモンレベルの変化に関係なく、短期の術後転帰に臨床的に有益な効果はなかった。

CiteScore: 4.6 PMID: 33328753 PMCID: PMC7734068