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漢方薬の代替医療からの脱出

化学療法誘発性末梢神経障害に対する牛車腎気丸の予防効果:系統的レビューとメタ解析

dx.doi.org

【目的】化学療法誘発末梢神経障害(CIPN)は、化学療法の使用量を制限させ、患者のQOLを低下させる。牛車腎気丸は、神経障害や一般的な疼痛を軽減させる。化学療法に伴うCIPN防止及びマネジメントの臨床ガイドラインでは、CIPNに対する牛車腎気丸の予防効果はまだ決定的ではないと言及している。本稿はガン化学療法を受けている患者に対する牛車腎気丸のCIPN予防効果を体系的に検討した。

【方法】PubMed、EMBASE、医中誌およびコクラン・ライブラリのCENTRALより、本研究に適合する試験を検索した。CIPN予防に対する牛車腎気丸の有効性および安全性を評価した無作為化比較試験を対象とした。主要評価項目はCIPN発生率、化学療法に対する反応と副作用であった。ランダム効果モデルを用いてデータ集積を行った。

【結果】患者計397例を対象とした5つの試験を分析した。CIPNの発現頻度をNeurotoxicity Criteria of Debiopharm(DEB-NTC)で評価した結果、Grade1以上(リスク比[RR] 0.43;95%CI、0.27-0.66)およびGrade3(RR 0.42;95%CI、0.25-0.71)のCIPN発現低下で牛車腎気丸の関与が示されたが、Grade2以上のCIPNでは認められなかった。有害事象共通用語規準(CTCAE)を用いたCIPN発現低下、または化学療法に対する反応において、牛車腎気丸による改善は認められなかった。牛車腎気丸は1つの試験で良好な忍容性を示した。

【結論】牛車腎気丸は癌化学療法を受けている患者のCIPNを予防する可能性は低い。エビデンスの質の低さ並びに不十分さを考慮すると、標準治療法としての牛車腎気丸の使用は現時点では推奨されない。

Impact Factor: 2.754 PMID: 29280005