Exodus of Kampo

漢方薬の代替医療からの脱出

柴朴湯を用いた喘息患者の治療:無作為化比較対照試験

 

DOI: 10.1053/rmed.2002.1307

www.ncbi.nlm.nih.gov

近年、世界中で代替医療の使用が目覚ましいペースで増加している。植物薬を用いた喘息治療が注目されているが、これまで日本を含む東アジア諸国において無作為化研究は実施されていない。本研究は、日本で承認されている柴朴湯のアトピー性喘息治療に対する有効性並びに柴朴湯による保護作用と好酸球性炎症低下との関連性を検討した。本研究は二重盲検無作為化交差デザインを使用した。被験者は柴朴湯 2.5gまたはプラセボを1日3回、4週間経口投与し、その後少なくとも4週間のウォッシュアウト期間の後に薬剤を交差し治療を受けた。メタコリンの吸入で引き起こされた気管支収縮に対する柴朴湯の前処置効果を評価した。さらに好酸球数および好酸性陽イオンタンパク質(ECP)の測定も実施した。4週間の柴朴湯投与後のPC20-メタコリン値は有意に改善した。また患者の症状、血中好酸球、血清ECP、痰中好酸球、痰中ECPは有意に減少した。本結果から、気管支好酸性浸潤に対する柴朴湯の抗炎症効果が示唆される。本研究は柴朴湯による新たな喘息治療の可能性を生み出し、新しいアプローチに対する今後の研究を論じている。

Impact Factor: 3.23